遺言書というと馴染みがない方が多いと思います。

私の父は6年前、闘病の末64歳で亡くなりました。手帳に箇条書きで財産分与の希望を書いたものはありましたが、遺言書はありませんでした。

その後私自身が行政書士になり、遺言書には『付言』という遺された人たちに宛てたメッセージを入れられると知り、父の遺言書があったらよかったのになと思いました。

「うちには財産が無いから」「残された家族が何とかしてくれるだろう」「まだ先のことだから今やらなくても」と遺言書は不要とお考えの方や『遺言書は縁起が悪い』と思われる方がいらっしゃるかもしれません(実際私もそういうお言葉を何度か耳にしました)

ですが、遺言書を作ることは『自分の人生や身の回りを整理する』『家族や親しい人への気持ちを改めて考え、残りの人生で感謝を伝えられる』良いきっかけになると思います。

お元気な今、一度立ち止まって今まで歩んだ道を振り返ってみませんか?

遺言書作成には色々なルールがありますので、分かりやすくお伝え出来たらと思っています。

遺言書の種類

 自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
作成方法遺言者本人が自書し押印する(財産目録はPCやコピーでも可)
証人2人立ち会いのもと、公証役場にて作成する
遺言者本人が作成し(代筆可)、内容を公開せずに公証人に遺言の存在のみを証明してもらう
メリット費用がかからず手軽。遺言の内容を第三者に知られず作成できる
安全で確実な遺言を遺せる。紛失・偽造されない。検認不要。遺言書を自分で書かなくて良い
遺言の内容を第三者に知られず、かつ遺言書が本人によって作成されたことを証明できる
デメリット自書が必要。遺言内容に法律的な不備がある場合、遺言内容が無効になってしまう恐れがある。遺言書が本人保管の場合発見されない恐れがある。家庭裁判所の検認が必要
費用と時間がかかる。証人が必要
費用がかかる。証人が必要。遺言内容に法律的な不備がある場合、遺言内容が無効になってしまう恐れがある。遺言書は本人保管の為発見されない恐れがある
保管場所本人保管又は法務局保管(※法務局保管の場合は家裁の検認不要)
公正役場
本人保管。法務局の保管制度は利用できない

上記表にもありますように、それぞれメリット・デメリットがあります。

自筆証書遺言は費用もかからず手軽に作成することが出来ます。ですが、財産目録以外は全文を自書しなければならないので、病気等で手が不自由になり、字が書けなくなった方は、利用することができません。

公正証書遺言は専門家が作成するので複雑な内容であっても法律に沿った遺言書が作成出来ます。公証人の出張が可能ですので病院・自宅でも作成できます。ですが、時間と費用がかかります。

秘密証書遺言は自書である必要はなく、遺言書をパソコン等で作成しても第三者が筆記した者でも可能です。ですが、公正役場で手数料がかかり、証人が必要、自己管理の為紛失の恐れがあります。

秘密証書遺言はデメリットが多く、作成件数は毎年100件とあまり作成されていません。

確実に遺言を作成したい場合は公正証書遺言を、手軽に遺言書を作成したい場合は自筆証書遺言をお勧めします。