まずは離婚の決め方ですが、三種類あります。

ご夫婦が話し合って離婚する協議離婚・家庭裁判所の調停で離婚を決める調停離婚・家庭裁判所の裁判で離婚を決める裁判離婚です。

行政書士は争いごとには関与できませんので、協議離婚についてご説明します。

離婚の際には決める必要がある項目があります。

①親権者

未成年の子どもがいる場合、父母のどちらかを親権者に指定します。親権は身上監護権(子どもの世話や教育をする)・財産管理権(子どもの財産を管理する)の2つを合わせたものです。

②養育費

子供を監護養育しない親側から監護する親側へ支払う金銭のことです。監護養育にかかる生活費・教育費・医療費等の分担金を養育費と言います。費用の目安については家庭裁判所の養育費算定表をご参考にしてください。金額・振込口座・支払い時期などを決めましょう。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp)

➂面会交流

子どもと離れて暮らしている親(非監護親)が子どもと直接会う・手紙や写真のやり取り・プレゼント等で親子の交流をする権利です。親だけではなく、子どもの権利でもあります。禁止事項も含めて具体的に決めておくと後々のトラブル回避にもなります。

④財産分与

婚姻期間に築いた財産は原則夫婦の共同財産になります。共同財産を二人で分割し、精算します。

⑤年金分割

婚姻期間に納めた厚生年金を夫婦で調整して分割することが出来ます。夫の扶養に入っていた第3号被保険者・相手より収入の低い第2号被保険者が対象になります。年金分割は離婚した日の翌日から二年以内が請求期限です。お近くの年金事務所にお問合せください。

⑥離婚慰謝料

夫婦の一方側に主な離婚原因(不貞行為・暴力等)があった場合、原因者は相手に対して精神的な苦痛の賠償を支払うこととなります。受けた精神的苦痛の程度や婚姻期間・原因者の社会的地位や経済力によって金額を判断します。

⑦解決金

円満に離婚するため、一方の配偶者から相手に対して支払われるお金のことです。

⑧強制執行認諾

離婚公正証書で金銭の支払いに関する内容(養育費・慰謝料・財産分与等)について「本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する」と強制執行認諾文言を入れておくことが出来ます。この強制執行認諾の状況が無いと支払義務を怠ったとして裁判をしなければ支払い義務がある側の財産の差し押さえは出来ません。

合意した内容はお金のやり取りも含みますので口約束ではなく必ず文書にしておくことが大切です。

①~⑧の項目が決まったら離婚協議書又は離婚公正証書の作成をしましょう。

離婚協議書は離婚に関する合意内容を記載した契約書で、通常の契約書同様法的効力があります。ただ、相手側が支払い義務を怠る場合、財産の差し押さえには裁判をする必要があります。

離婚公正証書は公証役場で作成する公文書です。公文書作成には別途手数料がかかりますが先にご説明した通り強制執行認諾条項を入れられるので、その後の金銭的な不安が軽減出来ます。

現在の離婚の9割が話し合いによる協議離婚によるものです。

平成28年のデータですが協議離婚の際は養育費の取り決めがあるケースが4割弱。調停離婚・裁判離婚の場合は養育費の取り決めがあるケースが8割程。養育費を受給している母子家庭は2割です。

早く離婚したいというお気持ちもあるかと思いますが、離婚はその後のあなた自身・お子様の人生を大きく変えます。暴力等で身の危険がある等ご事情がある場合は別ですが、今後の人生も考えた上でしっかりと決めましょう。

養育費の未払いについては「養育費保証サービス」もあります。養育費の支払いが滞っている場合、保証会社が養育費を立て替えと督促を行うサービスです。(月々保証料として1,000円程度かかります)

行政書士には守秘義務があります(行政書士法第十二条)。安心してご相談ください。離婚後の新しい生活に向けてより良いスタートが出来るように全力でサポート致します。