本日のブログは法務省の自筆証書遺言の保管制度についてお話しします。

自筆証書遺言保管制度を利用することにより、遺言書作成者ご本人が亡くなった後の家庭裁判所の検認が不要になります。また、民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて、遺言書保管官の外形的なチェックを受けることが出来ます(遺言書内容のチェックはされません)

ご自身が法務省に出向く必要がありますが、紛失・盗難・改ざんのリスクが無いというメリットもあります。

申請の流れ

①遺言書を作成する

A4サイズの用紙に遺言書全文を自書します。作成日付・遺言書本人の署名を自書する。押印は認印でも可ですが、シャチハタ印は不可。(自書によらない財産目録を添付する場合はページ毎に署名・押印が必要)

②申請書を作成する

申請先の法務省は遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかになります。申請書は法務省のHP、又は最寄りの法務省窓口で入手することが出来ます。死亡時に遺言書保管の通知を希望する場合は申請書の「死亡時の通知の対象者欄」に記入します。

手数料納付用紙も記入します。3900円の収入印紙を貼付(割印無・収入印紙はお近くの郵便局、又は法務局に行く当日に庁舎内の収入印紙の販売窓口で購入できます)

③添付書類を準備

遺言書、保管申請書、本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写し(マイナンバーや住民票コードの記載のない3カ月以内)、顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード・運転免許証・運転経歴証明書・パスポート・在留カード・特別永住者証明書等の官公署から発行された身分証明書)、手数料3900円分の印紙

④法務省に予約

法務局手続案内予約サービスの専用HPにて予約を取る(24時間受付可)

⑤法務省に行く

遺言者本人が添付書類を持って予約日時に法務省に行きます。(介助の為付添人同伴は可)遺言書保管所の名称と保管番号が記載された保管証が発行されます。保管証は再発行不可の為紛失しないよう気を付けましょう。

法務局自筆証書遺言 保管制度申請後に出来ること

①遺言書の閲覧(モニター・原本)の請求

遺言者ご本人に限り、原本の閲覧(遺言書原本を保管した法務局)、モニターによる閲覧(全国の遺言書保管所)が可能です。手数料(モニター閲覧:1400円、原本閲覧1700円)がかかります。

②遺言書保管の申請の撤回

遺言者ご本人に限り、預けている遺言書の保管をやめたい場合、遺言書保管所に対して遺言書の保管の申請の撤回を行い、ご自身の遺言書の返還を受けることができます。預けている遺言書の内容を変更したい場合は一度撤回し、その遺言書の内容を変更して再度保管の申請をします。保管の申請の撤回は遺言の効力とは関係がありません。

③住所氏名その他の事項の変更

遺言者自身の氏名、出生の年月日、住所、本籍(又は国籍)及び筆頭者遺言書に記載した受遺者等・遺言執行者等の氏名又は名称及び住所等の変更が必要な場合は遺言書保管所に届け出を行います。

相続開始後

①遺言書情報証明書の交付請求

遺言書の画像情報が全て印刷されており、遺言書の内容を確認することができます。遺言書原本の代わりとして各種手続に使用することが可能です。手数料証明書1通につき1400円。

②遺言書の閲覧請求

相続人等の方は遺言書の内容を確認するため、遺言書保管所に対して遺言書の閲覧の請求をすることができます。手数料はモニター閲覧:1回につき1400円。原本閲覧:1回につき1700円。

③遺言書保管事実証明書の交付請求

ご家族・お知り合い等が作成した遺言書で、自分を相続人や受遺者等・遺言執行者等とする遺言書が遺言書保管所(法務局)へ預けられているかどうかを確認することが出来ます。(手数料証明書1通につき800円)