先日のブログでは、家庭裁判所の検認が不要になる「法務省の自筆証書遺言 保管制度」についてお話ししました。本日のブログでは家庭裁判所の検認手続きについて、手続きの流れをお話ししたいと思います。

親族が亡くなられた後に、自筆の遺言書が出てきたとします。ドラマだと親族全員を集めて開封…というシーンが多いですが、実際は開封せずに、家庭裁判所の検認手続きをする必要があります。相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせる・遺言書の偽造・変造を防止するのが目的です。遺言書の内容が法的に有効かを確認するものではありません。

手続きの流れ

①検認の申し立て(家庭裁判所で検認をする日を予約)

遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人が遺言者の最後の住居地の家庭裁判所に申し立てを行います。手数料遺言書として(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手が必要です。

②遺言書を検認(出席した相続人等の立会のもと、裁判官が検認)

③検認済証明書の申請(遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑)

必要な書類

1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

2. 相続人全員の戸籍謄本

3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合】

4. 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))で死亡している方がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

【相続人が不存在の場合,遺言者の配偶者のみの場合,又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合】

4. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

5. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

6. 遺言者の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

7. 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

引用 裁判所HP 遺言書の検認より

検認を受けないととどうなる?

家庭裁判所における検認手続きを経ずに遺言書の執行をした場合や開封した場合には、5万円以下の過料に処せられることになります(民法1005条)

銀行の預貯金解約手続や不動産・株式の名義変更手続には検認済発行書が必要ですので名義変更が困難になります。

家庭裁判所の検認手続きは1~2カ月かかります。検認にかかる費用は申立手数料が800円、戸籍謄本取得費用(1通450円)が遺言者&相続人分&家庭裁判所への交通費等かかります。ご家族を亡くなられた悲しみの中、煩雑な手続きをするのは大変ですし、手間も費用も掛かってしまいます。自筆証書遺言を作成される際は、法務省の自筆証書遺言保管制度をご検討いただけたらと思います。